東福岡“桁違い”3冠!決勝最多57得点&52点差、通算298点 モスグリーンのジャージーが相手を圧倒した。バックスの展開力で勝ち上がってきた東福岡がFW勝負に出た。「開始すぐのコンタクト(接触)で勝っていたし、いけると思った。FWのタテへの突進を使った」と司令塔のSO松尾。前半7分に松尾、FB高野恭が敵陣に切り込むと、FWがフォローし敵陣前ラックからサイドへ波状攻撃。防御の隙が見えたところを「こちらは(選手が)余っていたので余裕を持っていけた」と萩原が先制トライを決めた。
 
  大一番では主導権が勝負のカギを握る。優位に立った東福岡は10分に高野恭が40メートル独走トライ。12分にはスクラムからFW、バックス一体で右に展開し加点した。前半だけで6トライ。キッカーの萩原が5連続でコンバートに成功するなど大量40点を挙げた。
 
  接点での強さはここ2年間取り組み続けた筋力トレーニングの成果だ。一昨年の選抜で常翔啓光学園(大阪)に12―24で敗れ、予選リーグ敗退。「フィジカル負けだった。コンタクトの弱さを思い知らされた」と古川主将。それからは週3回、朝7時半から40分間の体幹強化トレを続けた。バックスも筋力を鍛え松尾は体重が10キロ増え、高野恭は「2年間で体重は15キロ増、ベンチプレスは60キロから100キロまで挙がるようになった」という。
 
  その結果は倒れない強さにつながった。相手に止められても1歩も2歩も前に出るから味方のフォローが追いつき次の攻撃に備えられる。さらにFWは元SOの古川をはじめ竹内、今村らバックス経験者が多く走れることも大きな強み。FWとバックスが一体になった攻撃こそたゆまぬ筋トレが生み出したものだ。
 
  終わってみれば花園決勝史上最多得点、最多点差、さらに5試合通算298得点も史上最多と記録ずくめの覇権奪回。男泣きした藤田雄一郎監督を筋トレで鍛えた太い腕で胴上げしたフィフティーン。春の選抜、夏の7人制大会に続く史上初の3冠制覇にちなみ指揮官はきっちり3度、宙に舞った。
 
  ▽東福岡 1955年(昭30)創立の私立男子校。福岡市博多区。サッカー部は昨夏の全国高校総体で優勝し、硬式野球部、バレーボール部も盛ん。主なOBにサッカー日本代表の長友佑都(インテル・ミラノ)、プロ野球の村田修一(巨人)ら多数。