陸上で五輪とパラが共同戦線 跳躍は共通  

  日本陸上競技連盟と日本パラ陸上競技連盟が初の「共同戦線」を張る。14年ユース五輪男子走り高跳び銀メダルの平松祐司(18=西城陽高)ら4人と、パラリンピック4大会連続入賞中の鈴木徹(34=プーマジャパン)が30日、合同短期合宿を行うスウェーデンへ出発した。両連盟による公式では初の選手強化になる。

  計画した杉林コーチは、「互いに良い経験になる。跳躍技術は共通する部分は多い」と話す。右足膝下が義足の鈴木だが、限られた身体機能を最大限生かして記録を伸ばしてきた。跳躍する入射角や、背面跳びのテクニックは健常者にも生かせる部分が大きく、若手の手本にもなる。逆に、2月9日まで世界王者も輩出した名門クラブに参加するため、「こういう機会はなかったのでびっくりしました。すごく楽しみです」と話す鈴木にとってもメリットは大きい。

  今回は20年東京五輪に向けた若手育成発掘プロジェクト「ダイヤモンドアスリート」の一環で北欧遠征する若手に、以前より同地での練習を希望していた鈴木が合流することになった。これまで五輪選手とパラリンピック選手の合同練習は個人間にとどまっていた。

  健常者と障害者が同じ場で練習できる競技は限られている。ただし、フェンシングなど一部では、積極的に両者の交流を図り、今後の強化に生かす狙いを持つ。「バリアフリー」が進むことで、どのような相乗効果が生まれていくか。日本陸上史に残る画期的な試みの第1歩になる。【阿部健吾】