第3ラウンド、16番でティーショットを放つ松山。通算10アンダーで2位に浮上した(共同)
◆米男子プロゴルフ フェニックス・オープン第3日(1月31日、アリゾナ州スコッツデール TPCスコッツデール=パー71)
第2ラウンド(R)の残りと第3Rが行われ、松山英樹(22)=LEXUS=が8バーディー、ボギーなしの猛チャージ。米ツアー自己ベストの63で回り、通算10アンダーで首位のマーティン・レアド(英国)と3打差の2位に浮上した。16番(パー3)ではあと少しでホールインワンのスーパーショットでバーディー。日本人では丸山茂樹以来2人目の米ツアー2勝目を射程に捉えた。
松山が大ギャラリーの前で、米ツアー2年目の成長を披露した。約2万人収容の常設スタンドが四方を取り囲み「ザ・スタジアム」と呼ばれる名物ホールの16番。50度のウエッジで放ったティーショットがピン方向に飛んだ。奥2メートルからバックスピンでカップに向かったボールは、わずか20センチ左を抜けた。「入ってたら大盛り上がりでしたよね。残念です」。初のホールインワンこそ逃したが、1メートルを沈めて楽々バーディー。軽く手を上げて大声援に応えた。
因縁のホールだった。首位と1打差で迎えた昨年大会の最終日ではボギーをたたいて優勝戦線から脱落。最終的に4位に終わり「風の読み違い」と悔やんでいた。因縁と決着をつけた22歳は会見で、「一番うれしいバーディーは?」と問われると「16番。ファンを沸かせられて良かった」と喜んだ。通算7ラウンド目で初めて奪ったバーディーが成長の証し。米国のテレビ解説者が日本語で「スゴイ!」と、うなったスーパーショットだった。
勢いは続く。17番ではもう少しで1オンとなる293ヤードのティーショットを放ちバーディー。18番は5メートルを沈め4連続バーディーでフィニッシュした。この日のベストスコアで27位から一気に浮上し「ここまで伸ばせると思っていなかった。優勝争いに加われたことはすごく良かった」。15万9906人が詰めかけた大会の主役になった。
日本人で米ツアー2勝を挙げれば、通算3勝した丸山茂樹以来2人目。快挙が目の前に迫ってきた。「緊張すると思う。それでも崩れないように頑張ります」。気負わず淡々と自分のゴルフを貫く先に、栄冠が待っている。