スポーツニュース速報

 “ハマ九”が指揮官のハートをガッチリつかんだ。中日のドラフト2位浜田智博投手(22=九産大)が2日、沖縄・北谷キャンプで谷繁元信兼任監督(44)を相手に30球の投球練習を行った。グラブを上げ、小さいテークバックから投げる独特の「バンザイ投法」に、プロ27年目の兼任監督も「受けたことがない球の見え方」と驚いた。

 人生最大のド緊張ブルペンを終えた浜田智は、まだ興奮していた。「テレビでみていた人なので…。アドレナリンが出ました。いい経験ができたのでこれを生かしていかないといけないですね。低めに構えてくれて投げやすかったです」。いつもはゆっくりしゃべる宮崎弁が、いつの間にか早口になっていた。

 突然の出来事だった。2日連続のブルペン。18球を投げ終えたところで又吉のボールを受けていた指揮官がスッーと正面に座った。緊張のあまり5球連続でボール球。マスク越しに笑顔を浮かべる監督の顔を見て、ようやく力が抜けた。

 つかみはOKだ。テンポのいい30球を受けた谷繁兼任監督は「出どころというか、今までにないね。僕が受けたことがない球の見え方に感じた」とファーストキャッチの印象を表現。中学時代に思いつきで始め、改良を重ねて進化してきた スポーツニュース速報 「バンザイ投法」。まるで阿波おどりのような投法は、酸いも甘いも知り尽くしたベテラン捕手の心も躍らせた。

 素朴なキャラクターですっかりチームに溶け込んだ。「チーム内に(達郎と)浜田が2人いる」という理由から、九州の浜田という理由でついたニックネームは「ハマ九」。すでに浸透しつつある。某コーチは、手足の長さからアニメ映画「千と千尋の神隠し」に登場するクモのようなキャラクター「釜じい」と親しみを込めて呼ぶ。みんなからイジられる愛されキャラなのだ。

 キャンプは始まったばかりだが、開幕に向けたレースはすでに始まっている。新人といえども甘えは許されない。谷繁兼任監督は「もともと150キロで勝負する投手じゃない。キレやコンビネーションで勝負するタイプ」と特徴を分析し、アドバイスした。「バランスを考えてやっていきたい」と話すハマ九は、近日中にも打撃投手としてマウンドに上がる。【桝井聡】

 ◆浜田智博(はまだ・ともひろ)1992年(平4)10月1日、宮崎市生まれ。宮崎工で3年春にセンバツ出場。九産大では3年春の九州工大戦で無安打無得点試合を達成。4年春に全日本大学選手権8強。大学通算24勝8敗。最速144キロ。183センチ、75キロ。左投げ左打ち。