債務GDP比を財政再建の新指標に…政府方針

 政府は、2020年度までの財政健全化目標として、国と地方の債務残高(借金)の総額を国内総生産(GDP)比で減少させることを掲げる方針を固めた。

  経済成長が財政に与える影響を直接的に反映した指標で、成長が財政再建につながっているとアピールする狙いがある。国と地方の「基礎的財政収支」(プライマリーバランス、PB)を20年度までに黒字化させる現在の目標も維持する。二つの目標が、今夏にまとまる財政再建計画に盛り込まれることとなった。

  経済成長や増税で税収が増えたり、歳出削減が進んだりすれば、PBは改善される。一方、債務残高の対GDP比という指標を用いた場合、経済成長の「成果」を一層強調することになる。デフレ脱却が進めばGDPは大きくなり、債務残高が減らなくても、GDP比率の数値は減少するからだ。

  内閣府の試算によると、15年度の国と地方の債務残高は985兆円で、20年度には、社会保障費の増大などで1115兆円に膨らむ。一方、経済成長を見込んだGDPは、504・9兆円(15年度)から599・4兆円(20年度)に拡大。このため債務残高を対GDP比でみると、15年度の指標195・1%が、20年度には186・0%と、9・1ポイント改善する。具体的なGDP比の削減目標については、政府内で今後検討する。