JPXが不適切なIPOへ対応策、証券会社や監査法人に協力要請

[東京 31日 ロイター] – 日本取引所グループ(JPX)<8697.T>は31日、新規株式公開(IPO)案件で不適切な事案が相次いでいる問題への対応策を正式に発表した。

新規公開会社の経営者による不適切な取引について上場審査を強化するほか、IPO企業に対して業績予想の前提条件や根拠の適切な開示を要請する。また、上場予定時期が集中しすぎないよう求める。

不適切な一部の企業によってIPO制度が悪用され、投資家の警戒感がさらに増せば成長企業への円滑な資金供給に水を差しかねないとの懸念から、JPXは今回の対応に踏み切った。

JPXの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は定例会見で、上場を目指す企業と接する証券会社や監査法人の責任に言及。投資家が不当に不利益を受けないよう、双方に協力を求めていく考えを強調した。

斉藤CEOは証券会社について「長い間、外交をしてきて(上場を目指す企業のことを)知っているはず。知らなかったら上場できるはずがない」と指摘した。一方、監査法人については「過去何年間分の財務データを調べていれば、プロであれば(不適切な財務処理は)ある程度わかったと思う。わからないでは済まされない」と述べた。IPO企業は、上場にあたり直近2年分の財務情報について監査を受ける必要がある。

斉藤CEOはまた「3カ月で、決算数字を黒字から赤にしてしまうなんて、経営者としてありえない」との見方を示した。IPO企業の業績予想をめぐっては、ゲーム開発・運営のgumi<3903.T>が上場後3カ月足らずで業績予想を黒字から赤字に修正している。

(和田崇彦)