【THE REAL】ハリルジャパンとプラチナ世代の元気印、DF昌子源を成長させる“未知との遭遇”

 昌子源と書いて「しょうじ・げん」と読む。日本サッカー界の「プラチナ世代」と呼ばれる1992年生まれの22歳。鹿島アントラーズに加入して4年目を迎えた昨シーズンは、最終ラインの統率役としてリーグ戦全34試合に先発。日本代表にも抜擢された伸び盛りのホープだ。 ポジティブで明るく、何事にも物怖じしないキャラクター。豊富な語彙と達者なトークでアントラーズのムードメーカーを務め、試合後の取材エリアでは常に大勢のメディアに囲まれる。「げんちゃん」の愛称でサポーターからも愛される元気印が、未知の領域に足を踏み入れたのは8日のことだった。 ホームに中国スーパーリーグの強豪、広州恒大を迎えたアジア・チャンピオンズリーグのグループリーグ第4節。その後半30分に昌子はピッチの上に仰向けに転がされ、冷たい雨が降ってくる夜空を見上げながら、二律背反する思いを脳裏に交錯させていた。 「本当にすごいゴールだった。ワールドクラスの動き出しについていけずに失点してしまったことは、確かに悔しい。やられた本人が言うのも変ですけど、すごくいい経験になったとも思った。こういう戦いをもっと、もっとやりたいと」 【次ページ 「僕は隙だらけだった」】 ■「化け物と戦っているようなかんじ」に楽しさを見出す 左サイドへ抜け出した中国代表FWガオリンへロングパスが通り、追走してきた右サイドバックの西大伍を切り返しでかわした直後だった。それまで昌子がマークしていたFWエウケソンが突然、視界から消えた。 元ブラジル代表の肩書を持つ25歳のエウケソンは、時計と逆回りの弧を描きながら昌子の死角へ巧みに侵入。ガオリンが放ったクロスを昌子がクリアする体勢に入った瞬間に、右側からいきなり姿を現した。 虚を突かれ、体勢を崩した昌子をあざ笑うかのように、エウケソンが伸ばしてきた左足は確実にボールをとらえる。駆け引きで後手を踏み、完璧に決められた同点ゴール。昌子はただただ脱帽するしかなかった。 「正直言うと、僕が先にボールに触れると確信に近いものがあった。ボールを持っていないときは守備も何もしない選手だけど、サボっているように見えて僕たちの背後をずっと狙っている。エウケソン選手から見れば、僕は隙だらけだったんでしょうね。足を蹴られたし、踏みつけられたし、腕も引っ張られた。本当にいろいろな駆け引きを仕掛けてきた。化け物と戦っているような感じでしたけど、楽しさすら感じていた」 バヒド・ハリルホジッチ新監督のもとで招集された新生日本代表で、いい意味でのカルチャーショックを受けた。…