米アマゾンがテスト飛行を行う配達用無人機(AFP=時事)  【ワシントン時事】米国で無人航空機の商業利用に向けた取り組みが広がっている。インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムなどが無人機による配達事業の検討に乗り出した。民間の試算では、2013年に50億ドル(6000億円)だった米国の無人機市場は20年に150億ドル(1.8兆円)規模まで拡大する見通しだ。
 アマゾンは無人機による配達「プライム・エアー」事業の実現に向け、規制が柔軟な米国外で屋外試験を進めている。IT大手グーグルも次世代事業として無人機の研究を始めた。14年夏にはオーストラリアで、回転翼4枚を備えた試作機を飛ばし、上空からの物資投下に成功したという。両社はともに配送センターから直接、無人機で宅配するサービスを早期に全米で展開したい考えだ。
 無人機は配達以外にも、広告や映画撮影、資源パイプラインの監視、農薬散布などで活用を見込める。米国の無人機は軍事利用が先行したが、民間への技術移転が進めば市場が急激に広がる可能性が高い。
米グーグルがテスト飛行を行う配達用無人機(同社提供)  ただ無人機には、衝突・墜落などの事故や上空からの無断撮影などのプライバシー侵害を懸念する声も多い。このため米連邦航空局(FAA)は操縦者の免許登録といった厳格な規制を検討。アマゾンなどには米国内での屋外試験も許可していない。米商工会議所はFAAが積極的に認可しなければ「無人機市場がしぼむ」と反発しており、15年は当局と産業界の駆け引きが活発になりそうだ。